あなたは世界でもっとも有名な先史時代の遺跡「ストーンヘンジ」をご存知ですか?
巨石が立ち並ぶこの不思議な遺跡は、世界遺産として登録されていて、毎年100万人近い観光客が集まる非常に人気の観光地であり、パワースポットとしても有名な場所です。
そして、いったい誰が何の目的で建造したのか分かっていないため、未だに多くの謎に包まれた『ミステリースポット』として現在も世界中の科学者が研究を進められています。
しかしそんな謎があるからこそ、ストーンヘンジには見る者に当時この地でどのようなことが起きていたのか想像をさせる、といった知的好奇心を刺激する魅力があるのです。
そこで今回の記事では、そんなストーンヘンジの基本的な情報から、世界中の人々を魅了する「謎」について、詳しくご紹介していきます。
ストーンヘンジとは
ストーンヘンジは、イギリス南部ソールズベリーの大草原にそびえる石の神殿です。
このように、中心にはアルファベットの「U」の形に5つのトリリトンが配置されています。
トリリトンとは、2つの立石と1つの横石を鳥居のように組み合わせた石組のことです。
ストーンヘンジは、このトリリトンを中心に、さらに直径100mのサークル状に高さ5mほどの立石が配置されています。
紀元前3100年から紀元前2000年の間に建造されたと言われていますが、最近の調査では、盛土による堤防状の防壁である土塁(どるい)の初期工程が、紀元前8500年前のものであるという研究結果も出ています。
建造された目的も、どのように建造されたのかも、その全てが未だ謎のベールに包まれていて、現在でも様々な検証や研究が行われている遺跡です。
パワースポットとしてのルーツ
ストーンヘンジはヨーロッパ最大のパワースポットとしても有名です。
広大な草原に突如現れる天を背負ったその姿からは、古代から脈々と受け継がれるパワーを感じとることができます。
また、ある考古学者の調査では、イギリス南部にある遺跡や聖地と呼ばれる場所を地図で確認すると、そのどれもが直線的に繋がっていることが判明しました。
この繋がりは「レイ・ライン」と呼ばれていて、エネルギーが流れる道と言われています。
ストーンヘンジは他の遺跡に繋がる3本のレイ・ラインが存在することから、特別なエネルギーが秘められたパワースポットとして考えられるようになりました。
それを裏付けるように、実際にこの地を訪れた多くの方々がストーンヘンジから不思議なパワーを感じたと話しています。
ストーンヘンジの2つの謎
ストーンヘンジの最大の魅力はやはり、現代の科学をもってしても解明できない多くの「謎」を秘めていることです。
古代人はいったいどんな方法で、そしてどのような目的でこのストーンヘンジを建造したのか、多くの人々の好奇心を刺激するそんな謎の数々についてご紹介していきます。
謎1:巨石はどのように運ばれたのか?
ストーンヘンジには「サルセン石」と「ブルーストーン」という2種類の石が使われています。
サルセン石は、9mもの高さのある巨石なのですが、最新の研究によって、この巨石がストーンヘンジから25㎞離れた森から運ばれてきた、ということが分かりました。
しかしここで問題なのは、離れた森からどのようにしてサルセン石を運び出したのか、という点です。
ストーンヘンジにあるサルセン石は平均23トンという重さがあり、それが80個配置されていました。
つまり総重量1840トンの巨石たちが、25㎞離れた平原まで運ばれたことになります。
そして巨石の運搬についての謎は、それだけではありません。
それはもうひとつの石ブルーストーン。この石の重さは平均4トンほどとサルセン石と比べれば軽いのですが、産出地がなんと、ストーンヘンジから約240㎞(直線距離で)も離れたウェールズという場所だったのです。
ストーンヘンジで使用されたブルーストーンは少なくとも50個なので、総重量200トンになります。この重量を当時の技術力で、どのようにして240㎞も運搬したのでしょうか。
そのあまり不思議さに、中世時代では「アーサー王物語」に登場する魔法使いマーリンが、巨石を魔法で運搬したのだと本当に信じられていたようです。
そして現在は、この巨石の運搬方法に様々な合理的な説が唱えられています。
- 巨石をソリに乗せて滑らせた
- ボールとレールの上を滑らせた
- 昔は川が流れていて船で運搬した
しかしどれも、当時の技術力で実現が難しいとされていて、今のところ、サルセン石、ブルーストーンの運搬方法については、これだという決め手になる説は出ていません。
謎2:ストーンヘンジはなぜ建てられたのか?
ストーンヘンジのもうひとつの謎は、どんな目的で、何のために作られたのか未だに分からないという点です。
運搬方法同様に、こちらも様々な説があるのですが、今回はその中でも有力な2つの説についてご紹介します。
理由1:天文観測のために作られた
ストーンヘンジは北東部に入口があり、そこには「ヒールストーン」と呼ばれている石が配置されています。
中央から見ると、夏至(げし)の日の出の方向とヒールストーンの配置が一致することが判明していて、その構造があまりにも精密であったため、天文観測に使われていたのではないかと言われています。
さらに、この事実を発見したアメリカの天文学者ジェラルド・ホーキンズ氏によれば、ストーンヘンジは夏至の日の出以外にも、日蝕や月蝕も正確に予測が立てられるというのです。
しかしそれが本当なら、古代人は現代の天文学に通じるレベルの高度な技術力があったということになります。
そのためホーキンズ氏のこの説は説得力はありますが、多くの学者からは現実的に難しいのではないかと考えられているようです。
理由2:埋葬地と治療所として作られた
もう1つの説は、ストーンヘンジが「埋葬地」として利用されていた、というものです。
実際、ストーンヘンジの周りでは人骨が発掘されているため、この説の信ぴょう性は非常に高いと言われています。
ですが当時の平均寿命は20代から30代と言われていて、そんな時代に果たして多大な月日と労力をかけてまでただの埋葬地を作った、というのは疑問が残ります。
さらに、ただ埋葬地を作るためなら、わざわざ240㎞も離れた土地にある4トンものブルーストーンを50個も運んでくる必要はないはずです。
その疑問を解決するひとつの仮説として、ブルーストーンには病気やケガを治す力があったと信じられていたのではないか、という説があります。
その説というのは、ストーンヘンジはその力を利用するために建てられた、いわば「治療所」のような役割があり、その力を信じ集まった病人やケガ人が、そのまま亡くなり、結果ストーンヘンジの地に埋葬されたのではないか、というものです。
確かにこの説なら、時間と労力をかけてストーンヘンジを建造した理由にはなりますが、それなら病人やケガ人を直接ブルーストーンの産出地であるウェールズに送った方が、効率的だったのではないのか?という新たな疑問も生まれます。
残念ながらこれらの説の答えは未だに出ていません。
ですがその謎解きに挑むことこそが、多くの人々や科学者の心を惹きつけるストーンヘンジ最大の魅力となっているのです。
ストーンヘンジ:まとめ
今回はイギリスを代表する先史代の遺跡、ストーンヘンジについてご紹介しました。
古代人がどのようにしてこの大きな遺跡を建て、何の目的で使用していたのか、謎は深まるばかりですが、自分なりの想像を働かせるのもストーンヘンジの魅力です。
もし、あなたがストーンヘンジを訪れた際には、この神秘に満ちた巨大遺跡のパワーを感じながら、歴史のミステリーに挑戦してみてください。
それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。