あなたは、アンテロープキャニオンをご存知ですか。

今から5年前、「日本人に人気の海外観光スポット」の第二位に輝いた観光名所です。

アメリカ・アリゾナ州のペイジ近郊にあるアンテロープキャニオンは、神秘的な光線と鉄砲水に削られた岩が織りなす独特な形が魅力で、多くの観光客や写真家を虜にしています。

今回は、そんなアンテロープキャニオンの魅力を見ていきましょう。

アンテロープキャニオンの成り立ち

アンテロープキャニオンの成り立ち

アンテロープキャニオンは、アメリカ・アリゾナ州ペイジ近郊に位置する、不思議な形の砂岩に囲まれた渓谷のことを指します。

日本人にも人気のアンテロープキャニオンの魅力は、ザ・ビームと呼ばれる一定の時間にしか見られない光線と、鉄砲水などにより削られた岩。自然が作り出したその独特な形と神秘的な光は、まるで異世界に迷い込んでしまったかのようです。

鉄砲水によって浸食された滑らかな地層は、まるで渦を巻いたような模様を描き、その隙間から限られた時間にのみ差し込む太陽光は、神々しささえ感じられる絶景と言えるでしょう。

アンテロープキャニオンは、その上流に降る雨がもたらす鉄砲水や風によって、砂丘が固まり出来た砂岩が長い年月をかけて狭く深く削り出されることで作り上げられました。

特に、モンスーンの時期に降る雨水は、アンテロープキャニオンの一部である谷間を流れます。大きい通路から、より狭い通路を流れるに従い、水は加速していき、より多くの砂を拾いあげていきます。その後、長い時間をかけて通路が侵食されると、狭い通路は拡張されて広くなり、岩の鋭さはより滑らかにされていきます。こうして独特の流れるような岩の通路が、長い年月をかけて形作られてきたのです。

なお、先住民たちは、この地のことを「水が岩を流れる場所」と呼んでいたのだとか。

現在でも鉄砲水などが流れ込み、それによって岩が削られることで、アンテロープキャニオンは現代もその姿を変化させ続けています

アンテロープキャニオンの見どころ

アンテロープキャニオンの見どころ

アンテロープキャニオンは、先住民族である「ナバホ族」の居住区域内にあります。

そんなアンテロープキャニオンは、1990年代に入ってから観光地として開放されました。解放される前までは、立ち入るにはナバホ族の許可証が必要となる「特別な場所」でした。現在も管理はナバホ族が行っているそうです。

そんなアンテロープキャニオンの見どころを確認していきましょう。

アッパー・アンテロープ・キャニオン

アッパー・アンテロープ・キャニオンは、ナバホの言葉で「水が岩を流れる場所」という意味を持つツェー・ビガニリニ(Tse bighanilini)とも呼ばれています。

この場所が観光客に人気となっている2つの理由があります。

1つ目の理由は、岩などを登る必要性が無いためです。入り口と全長が地表と同じ高さにあるため、お子様や高齢の方にとっても訪れやすいと言えるでしょう。

2つ目の理由は、キャニオン頭頂の開口部から直接入射する太陽光の光芒が、後述の「ロウワー・アンテロープ・キャニオン」よりも「アッパー・アンテロープ・キャニオン」のほうが起こりやすいためです。夏期間は特に顕著で、太陽が空高く昇った時この光芒がよく見られるそうです。

ロウワー・アンテロープ・キャニオン

ロウワー・アンテロープ・キャニオンは、ナバホの言葉で「螺旋の岩石アーチ」という意味を持つハスデトワジ(Hasdeztwazi)とも呼ばれています。アッパー・アンテロープ・キャニオンからは、数キロ程度離れた所に位置しています。

アッパー・アンテロープ・キャニオンと違って高低差があるため、鉄製の階段が取り付けられています。その階段すらなかったころは、一定の場所をロープやはしごで登っていく必要があったため、観光目的で訪れる旅行者はアッパー・アンテロープ・キャニオンと比較しても少ないんだとか。

その分、写真家を引き付けてやまない素敵な光景にであえるようです。

雨のアンテロープキャニオンは危険?

雨のアンテロープキャニオンは危険?

そんな魅力的なアンテロープキャニオンですが、実はとても危ない側面も持っています。

それが、アンテロープキャニオンの不思議な造形を形作っている「鉄砲水」です。過去には11人もの人命が失われた事故が起きてしまったこともあるそうです。

この鉄砲水は、キャニオンの近くや真上から降る雨が激しい鉄砲水になるだけではなく、数十マイルも離れたところにあるキャニオンの上流で降った雨が、キャニオンへ注ぎ込んでくることで発生します。

このように、アンテロープキャニオンは鉄砲水の通路となっており、雨天時はたいへん危険なため、入場が禁止となります。しかし観光で訪れる際には、自分でも突然の雨が来ないかどうかを注意深く確認する必要があります。

とはいえ、素人がその判断をすることは難しいため、アンテロープキャニオンを訪れる際は、案内人付きの旅行として訪れる観光客がほとんどだそうです。

アンテロープキャニオンのまとめ

アンテロープキャニオンのまとめ

今回は、日本人にも人気の観光スポット、アンテロープキャニオンについてご紹介しました。

最寄りの主要空港はラスベガスで、そこからアンテロープキャニオンまでは車で4時間半程度となります。

鉄砲水と風、そして神聖な光が作り出す大自然の芸術を、あなたも訪れてみてはいかがでしょうか。